「『生きものと人にやさしい森づくり』を考えよう」を開催しました

10月14日(金)、赤谷プロジェクト地域協議会理事・環境教育担当の長浜陽介さんを招いて、運動テーマグループ主催の「生きものと人にやさしい森づくり」〜生物多様性の復元と持続可能な地域づくりをめざす赤谷プロジェクト〜を開催しました。

赤谷プロジェクトは、群馬県みなかみ町北部、新潟県との県境に広がる10km四方の国有林をフィールドに、地域、自然保護協会、林野庁の3団体が協働して、生物多様性の復元と持続的な地域づくりを進める取り組みです。

専門家・サポーター・地域住民も参加する調査チームが「赤谷の森」に絶滅の危機にある大型猛禽類のイヌワシ・クマタカなどの存在を確認。森の食物連鎖の形がしっかりしていると云えるのです。イヌワシは150組ほどのペアが生息しトータルで400羽ほどが確認されています。

森の様々な生物の生息状況を把握するためセンサーカメラを設置したり、森の環境に対応して多種多様な動植物を食べるホンドテンに着目し、その糞の内容物を分析しています。森の特性を把握するための指標として活用しているそうです。

落ちているクルミを見ただけで、色々なことがわかるそうです。りす、ねずみなどはかじった痕が違うし、カラスは空から地面に落として割るので、何の動物の形跡かがわかるそうです。

赤谷プロジェクトでは、プロジェクトの理念に共感し、その目標実現に向けて、共に活動するプロジェクト・サポーター(ボランティア)を募っています。毎月第1週の週末を「赤谷の日」と名づけ、活動拠点である「いきもの村」を中心に様々な活動を行っています。

「いきもの村」とは赤谷の森の玄関口に、昭和30年代に建てられた小屋を関係者の手で復活させたものです。レトロな雰囲気が漂う「いきもの村」は野生動物の調査拠点、自然観察の研究施設としての整備が進み、小屋とその周辺に暮らす生物の生態調査が行われています。

講義の後、建物の周りを散策をしました。建物を出る前のホールに飾ってあった写真で、カワセミの餌の食べ方や雄と雌の見分け方などのお話をしてくれました。

雄が雌に餌をあげるとの事ですが雌は気に入った相手だと口をあけて待っているそうです。外に出て入り口付近にある木を見上げながら、実がどこにあるか種がどんな形で、どういうふうに落ちるのかなどのお話をいただきました。

また、下を見ると落ちた種から生長した小さな木や、その場所に植えていないだろう植物の存在などを見つけられました。どこかで鳥が実を食べて、その鳥の糞の中の種が育った事がわかりました。人に造られた庭なのですが、自然の営みのすごさを実感できる散策でした。

アンケート結果から「身近な自然の観察の仕方や赤谷の環境の事をとてもわかりやすく学ぶことができました」、「これからは外出時、フィールドサインを見つけながら、歩いてみたいと思いました」、「赤谷に森にぜひ行ってみたいと思いました」などの感想をいただきました。

赤谷プロジェクト地域協議会理事 環境教育担当 長浜陽介氏

赤谷の森とは・・・同じ県内に住んでいても知らないことばかりです。

会場の玄関口で・・・フィールドワークの始まりです。目線を変えると、身近なところに自然がいっぱい。

ケヤキの種を発見。大木なのに種は小さい。葉っぱと共に木から離れ、風にのせて種を飛ばすそうです。

もみじの木。よく見るとかわいい小さい実がついています。

日本たんぽぽがきれいに咲いていました。身近な自然に興味を持つことから、大きな森の理解へつながるのかもしれません。