第2回照射食品学習会

講師の小林泰彦氏と円卓会議のメンバー

1月21日、運動テーマグループのメンバーとパルシステム群馬の役職員、計11名で第2回目の照射食品学習会を、高崎市にある原子力研究開発機構高崎研究所(以下、「原研」)で開催しました。昨年11月に開かれた、第1回目の学習会の際、市民団体「食のコミュニケーション円卓会議」を紹介していただき、今回一緒に学習させていただくことになりました。

※「食のコミュニケーション円卓会議」(以下、「円卓会議」)は、お茶の水女子大学で開催された社会人向け公開講座『食のリスク評価・管理の基礎』(化学・生物総合管理の再教育講座)の受講生を中心に結成された団体です。主婦、事業者、研究者、教育者、マスメディア、行政など様々な立場のメンバーが互いに学びあうという精神のもと、毎月学習会や見学会などの活動を行い、2006年からは、食品照射や遺伝子組み換え、食品廃棄について学習を重ねています。

「食のコミュニケーション円卓会議」HP

照射施設の見学と食品照射実験


照射施設に置かれたイチゴとミカン


学習会当日(左が非照射、右が照射)


2週間後 まだ、見た目はあまり差がない

学習会ではまず、「原研」の小林泰彦氏より食品照射についての講義が行われました。
講義の内容は前回とほぼ同様で、放射線とは何か、放射線と放射能の違い、自然界に存在する放射線、照射食品とは何か、照射食品の国内外での現状、照射食品の安全性などについてのご説明でした。

前回の学習会の内容について以下をご参照ください。
「照射食品の学習会」を開催しました(ニュース)

次に、照射施設の見学。今回は「円卓会議」からのご提案で、施設の見学に加えて、イチゴとミカンに照射する実験を行いました。
実験の目的は、3キログレイ(病原菌、腐敗菌の殺菌ができるレベルの量)のガンマ線を当て、照射した食品と非照射の食品とで、外見・味・香り・日持ちの違いがあるのかどうか調べること。

わくわく感やドキドキ感、そして恐怖心・・・、参加者はそれぞれの思いを胸に、照射施設の2mもある分厚い扉が閉まるのを見守りました。

昼食をはさんだ後、「円卓会議」の市川まりこ氏から、「円卓会議」の活動内容や、食品照射実験のレポート、食品照射とリスクコミュニケーションについての話を伺いました。
「円卓会議」では、これまでに、牛乳、果物、にんにく、じゃがいも、うどん、照射した香辛料で作ったカレーなど、「原研」の照射施設で照射したものを試食しているそうです。

食品照射を理解するには、そういった実験による体験が有効であることを学びました。
また、照射食品や放射線に対して、多くの人は“怖い”という先入観を抱くため、そうした気持ちに寄り添うことが、食品照射におけるリスクコミュニケーションの第一歩である、ということでした。

照射イチゴの試食 果たしてその味は・・・


3週間後


4週間後 非照射のほうがカビが多いのが明らかです

学習会の最後に、参加者全員で照射と非照射のイチゴを一つずつ試食しました(厳密に言うと、怖がって試食を避けた人が約1名おりましたが・・・)。

照射イチゴと、非照射イチゴの違いはあるのかどうかを比較するために、“人生でこんなに吟味してイチゴを食べたのは初めて”、というくらい、よく味わって食べました。

その後、それぞれが外見・柔らかさ・香り・酸味・甘みなどの項目に結果を記入。大きく違いを実感した人もいれば、よくわからなかった人もいて、その割合は半々くらいでした。違いを実感した人は、照射したイチゴは少し柔らかくなり、酸味、甘みが減ったと記入していました。

また、食品包装用のラップをかけた状態で照射したため、「ラップの成分からオゾン臭がして気になった」と感じた人もいました。そのほか、「痛みがかった味のような。そのイチゴの味なのかもしれませんが非照射のものとは全く違いました。」「口の奥に広がる感じが“ウ〜”という感じ。おいしくない別のものの感じ。」という意見も寄せられました。

さらに、日持ちの違いを調べるため、照射したイチゴと非照射のイチゴを持ち帰り、高崎センター内にある冷蔵庫で保管しました。1週間ほど冷蔵庫に入れておきましたが、目立った変化がなかったため、室温で保存。すると、みるみる状態が変わってきました(右の写真参照)。

参加者のアンケートから(一部抜粋)


<1.驚いたこと>
「放射線は自然界にもあり日常生活の中で浴びていること」
「野菜からも放射線がでているということ」
「照射施設に入ったこと」
「人に照射すると死ぬ強さのものを、イチゴに照射しても食べられたということ」


<2.学んだこと>
「放射線と放射能の違い」
「コバルト60を自分の目でみることができたこと」
「食品照射が何のために行われているのかがわかった」
「世界では日常的に行われているが、日本では知らない人が多いこと」


<3.気になったこと その他>
「今日聞いたのは賛成派からの意見だったので、いろいろな資料や説明を聞くと問題のないように思えてきましたが、反対の方だったらどうなんだろう。。。という気持ちもあり、反対の方のお話も聞いてみたいと思った」
「注射器などとは違い、食物は命を授かったものという意識を大事にしたいです」
「照射食品に対してたくさんの可能性があることがわかった。一方で食の安全性以外にもリスクがあり課題があると感じた。賛成、反対ではなく、どのような可能性があるのかを学習したい」



運動テーマグループでは、来年度以降も照射食品について学習を深めていき、組合員の皆様に情報を提供していきたいと思います。第1回、第2回の学習会は、テーマグループのメンバーと役職員を対象にして行いましたが、次回は、組合員の皆さまにご案内して、原研の見学や円卓会議との交流、食品照射実験、さらには反対派の意見を聴く会など、大勢の方に参加していただけるような企画を考えております。